2019年12月スタートのオトナの土ドラ『悪魔の弁護人・御子柴礼司 ー贖罪の奏鳴曲(ソナタ) ー』
オトナの土ドラ、2019年12月から始まるのは、要潤さん主演の『悪魔の弁護人・御子柴礼司 ー贖罪の奏鳴曲(ソナタ) ー』。(公式サイトはこちら)
ドラマの原作は、中山七里の本格法廷ミステリー「御子柴礼司シリーズ」。以下の4冊です。
- 贖罪の奏鳴曲(ソナタ) (2011年12月)
- 追憶の夜想曲(ノクターン)(2013年11月)
- 恩讐の鎮魂曲(レクイエム)(2016年3月)
- 悪徳の輪舞曲(ロンド) (2018年3月)
ドラマの開始前に、原作のあらすじを知ったうえでドラマを楽しみたい人、ドラマを見た後に原作はどうなのか確認したい人のために、御子柴シリーズ4作目『悪徳の輪舞曲(ロンド)』の「あらすじ」を紹介します。
また、原作との違いや、エピソード結末・最終回の予想もしたいと思います。
これから先は、原作小説のネタバレあらすじです。ドラマや原作小説をネタバレなしで純粋に楽しみたいならば、ここで読むのを止めてください。
特に、あなたがミステリー小説好きなら、こんなところで「あらすじ」を読んでいる場合ではありません!すぐに原作を読んで、巧みなストーリーに酔いしれ、どんでん返しを楽しんでください。
では、『悪徳の輪舞曲(ロンド)』のあらすじに進みましょう。
『悪徳の輪舞曲(ロンド)』あらすじ
原作小説の紹介文とプロローグ
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、妹・梓が三十年ぶりに現れる。梓の依頼は、旦那殺しの容疑で逮捕されたという母・郁美の弁護だ。悪名高き〈死体配達人〉が実母を担当すると聞き動揺する検察側。母子二代に渡る殺人の系譜は存在するのか?
「ごめんなさいね、あなたさえ死んでくれたら…」『悪徳の舞踏曲』は、<郁美(いくみ)>のこの言葉から始まります。郁美は夫の首に巻いた縄を締め始めます。《本当に善い人だった。だから憎くて殺すわけではない。あくまでもカネのためだ》
郁美は、重たくなった夫の身体を横たえると縄の先端を「そこ」に通し、体重をかけて夫を吊り上げます。《あなた、ごめんなさい。あなた、ごめんなさい》吊るされた身体は暴れていたが、やがて動かなくなります。
跡のつかないように底面を雑巾で包んだ脚立を使い、縄の先端を鴨居(かもい)に結びつけ、「それ」を外します。脚立と「それ」を片付けると郁美はキッチンで水を飲みます。あとは布団に戻り、いつもの時間に床を出て警察に通報するだけ。
郁美は不意に、自分がとびきりの悪事をしでかした人間の母親であることを思い出します。《慎一郎がみどりちゃんを殺める時は、こんな風に心をざわつかせたのだろうか》
弁護の依頼
御子柴の事務所に40過ぎの女性が訪ねて来ます。30年も会っていなかった御子柴の3つ違いの妹、梓(あずさ)でした。梓は、にこりともせずに「まさか、あんたが弁護士になっているとはね」と言います。そして「あんたのせいで園部(そのべ)家はメチャクチャになった」と文句を言い始めました。
御子柴は元々<園部慎一郎(そのべしんいちろう)>という名前でした。14歳の時、5歳の女の子を殺してバラバラにし、頭部や手足をあちこちに放置していったためマスコミは<死体配達人>と名前を付けて報道。慎一郎は逮捕され、医療少年院に入ります。そこで<御子柴礼司>という名前に変わりました。その後、医療少年院の入所中に、父親の自殺を知ることになります。
※御子柴の過去の事件、医療少年院時代のエピソードは『贖罪の奏鳴曲』のあらすじを参照ください。
梓の要件は、殺人の疑いで逮捕された母親の弁護の依頼でした。婚活パーティーで知り合って再婚した夫の<成沢拓馬(なるさわたくま)>を殺したという容疑で逮捕。しかし、本人は否認しているという。
梓の弁護依頼に、御子柴は弁護士費用を要求。梓は「母親の弁護をするのにカネを取ろうっていうの」「聞きしに勝る外道ね」と言いながらも、成沢は資産家なので、母親が無罪になれば相続した遺産から払えると告げます。
母親との再会
御子柴は警察に行き、母親の郁美(いくみ)に接見します。「弁護士なんてそうそうなれるもんじゃないのだろうに、よくここまで…」30年ぶりに会った母親の言葉を制して、御子柴は、あくまで弁護士の仕事として来ていると告げ、高額な弁護士報酬が払えるかと問います。郁美は、主人名義の有価証券を処分すれば払えると答えました。
御子柴の「あなたは成沢拓馬氏を殺害したんですか」という問いに、郁美は「違います」と明瞭な声で否定します。目を覚まして成沢の姿を探していたら、鴨居から首を吊っていたという。
御子柴は成沢との出会いについても郁美に尋ねました。先の見えない老後に不安を抱いた郁美はネットで見た熟年者の婚活パーティーに参加。そこで成沢に出会い、結婚を申し込まれた。郁美は過去を打ち明けたが、それでも構わないと言って結婚してくれたという。
死体発見について警察にありのままに話したのに、なぜ逮捕されたのかと御子柴は疑問を投げかけます。郁美は、首吊りに使用した縄の先端に自分の皮膚片が発見されたことを伝えます。綱引きのような強い力でないとそんな状況は生じない、覚えはないかという御子柴の問いに、郁美は力なく首を振ります。
郁美は、もう一つ警察が突きつけた証拠に、家の中で<滑車>が発見されたことを話します。滑車を使えば、女でも楽々男の人の身体を釣り上げることができると言われたが、見掛けたこともないので、実物を見せられても何も答えようがなかったと、御子柴に伝えました。
成沢氏の過去
成沢の過去を追っていた御子柴は、成沢が前妻を<通り魔事件>で失ったことを知ります。その事件は3人の死者と重軽傷者4人を出した惨劇でしたが、通り魔は<統合失調症>と診断され、不起訴になり入院しました。
被害者達は、慰謝料を求めて民事裁判を起こしましたが、そこに成沢は参加していません。理由は一般家庭に7件分の慰謝料が払えるはずがないから勝っても意味がない、裁判をして一円も取れないんだったら、裁判をせずに憎しみを溜め込んだほうが奥さんの供養になると言っていました。
犯行の否定
裁判で御子柴が証人として呼んだのは『氏家(うじいえ)鑑定センター』所長の氏家でした。氏家だけでなく5人の職員が機材を持って入って来て組み立てを始めます。事件現場を再現したもので、二本の梁(はり)と二本の柱がある門のような構造。鴨居の部分は現場から持ってきたものです。
ここに検察が主張する方法で<吊り金車>といわれる滑車を付け、縄を通して被害者と同じくらいの体重の男を持ち上げてみます。すると、吊り金車が外れ男は落下しました。氏家は劣化した鴨居では体重を支えきれないと説明。御子柴はこの方法では「人体を吊り下げるのは不可能」だと主張しました。
検察側は、鴨居は老朽化していたものの「犯行時になんとか被害者の体重を支えられた可能性」を指摘し、鴨居には金具を取り付けたあとがあり、縄には被告人の皮膚片が付いていたことを証拠に、郁美の犯行に間違いないと主張します。
対する御子柴は、「被告人の皮膚片は事件発生時に付着したものではありません」と反論。鴨居はヒノキであるにも関わらず、縄からは微量のブナの木片が発見されたことを指摘します。そして、成沢氏の家にはガーデニング用にブナの枕木が大量にあったと説明しました。
御子柴は郁美を証言台に立たせ、事件の前、成沢氏と一緒の作業をしていなかったかを尋ねます。郁美は事件の前、成沢氏に頼まれて廃棄する枕木を縄で縛っていました。「頑丈に縛るように」何度も言われて、手のひらがヒリヒリしていたと証言しました。
御子柴は、首吊りは偽装ではなく本当に自殺であり、<縄の皮膚片>や<鴨居の取り付け跡>が偽装であり、成沢氏は郁美に殺人の冤罪を被せたかったと説明しました。
偽装の動機
裁判官が偽装の動機について疑問を投げかけると、御子柴は別の証人を呼びます。通り魔事件の被害者遺族でした。そこで成沢も通り魔事件の被害者遺族あることを明らかにします。そして「どうせ一円も取れないんだったら、裁判をせずに憎しみを溜め込んだほうが奥さんの供養になる」と語っていたことを証言します。
次に御子柴は、成沢のインターネット閲覧履歴を証拠として提出します。老化防止や園芸、熟年対象の婚活サイトの他に、異彩を放つのが<少年犯罪ドットコム>と<加害者家族の足取りを追え!>というサイトでした。
成沢は通り魔事件で無罪になった犯人への憎しみから、過去の通り魔事件や加害者家族への誹謗中傷サイトを巡っており、熟年婚活パーティーで郁美を見掛け、<死体配達人>の母親であることに気づきます。そこで代償行為としての復讐のために求婚し、縄の皮膚片や<吊り金車>の跡を偽装して自殺。<死体配達人>の母親に冤罪を被せようとしていたと御子柴は説明します。
検察官の、全てが想像の産物に過ぎないという異議に対して、御子柴は「十人中九人に当て嵌まることならば、それは想像ではなく常識になるのではありませんか」と反論。
「ここにいるかつての<死体配達人>をこの世から抹殺するべきだと一瞬でも考えたとしたら、あなたも成沢氏と同類ということなんですよ」検察官は彫像のように固まってしまいます。御子柴は勝利を確信しますが、勝利の余韻は微塵もありませんでした。
母親の告白
最終弁論は、ただのセレモニーとなりました。御子柴は被告人無罪を訴え、検察は従来からの主張を繰り返しました。郁美の最終弁論も「特にありません」だけでした。
最終弁論の後、郁美は御子柴に、前の夫である御子柴の父親を殺したのは自分だと告白します。息子が逮捕され、父親の謙造は会社を首になり、遺族からは慰謝料として八千万という大金を要求されました。ノイローゼになった謙造は自分の死亡保険金で工面するしかないと郁美に提案。郁美も賛成しました。
謙造は自筆の遺書を用意し、郁美が買ったウィスキーを意識がなくなるまで呑む。そして、郁美は謙造の首に巻き付けた縄を、鴨居に取り付けた<吊り金車>を通して謙造を吊り上げた。保険金は三千万で慰謝料には足りなかったが「それでも将来あなたの負担にはさせたくない一心で、お父さんは自殺した」
「いい加減にしろ」御子柴は叫びますが、郁美は続けます。医療少年院に面会に行かなかったのは、担当の稲見教官に「あなたの息子は、ここで赤ん坊からやり直すんだ」と言われたから。「だから、もう面会は諦めたのよ。あなたが別の人間に生まれ変わるために」
「わたしはたった今、弁護人を降りる」御子柴はそう言って郁美のもとを去って行きます。「慎一郎」と呼びかける母に「わたしの名前は御子柴礼司だ」と告げて裁判所を後にしました。
エピローグ
裁判所を出て、日比谷公園を通って帰る御子柴。噴水の所に、以前弁護した被告の娘、津田倫子(つだりんこ)が座っています。事務所引越し祝いの花束を持ってきたという。花束といっても、小遣いで買ったピンクの蘭一輪をセロファンで包んだだけの可愛らしいもの。
親戚の家で可愛がってもらっているという倫子に、御子柴は質問します「お母さん、好きか」。倫子の答えは「そんなの当たり前じゃない」。御子柴の顔を覗き込み「いつもと違う顔をしている」と言う倫子に、御子柴は理由を言います。「生まれてはじめて、他人が羨ましいと思った」
※倫子に関するエピソードは、『追憶の夜想曲』のあらすじを参照ください。
第6話『母親』ネタバレと結末予想
御子柴の事務所に、妹の梓(あずさ)が訪ねてきて、母親の弁護を依頼します。御子柴の母親の郁美は、財産目当てに夫を自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕されていまいた。
原作では、何人もの弁護士に断られた結果、梓は御子柴を訪ねますが、「死体配達人」の母親を弁護してくれる弁護士などいないと、直に御子柴に弁護を依頼します。実は宝来弁護士に断られて御子柴の事務所に行く展開を予想していたのですが、そのようなシーンはありませんでした。
原作との違いは、梓が御子柴の関係者と疑われないように「事務所に来るな」と気を使っている点です。原作では裁判に勝つために、御子柴自ら、被告人が自分の母親であることを明かしていますが、ドラマでは、御子柴が黙っているのに岬検事が明かしてしまいます。
当初から御子柴をよく思っていない岬検事ですが、御子柴が「死体配達人」であることを知ってから、凶悪事件を犯しながら少年であることで刑罰をまぬがれた御子柴に対して敵愾心をあらわにしています。
岬検事の考え方自体は、多くの人が共感できるものであるため、「ここにいるかつての<死体配達人>をこの世から抹殺するべきだと一瞬でも考えたとしたら、あなたも成沢氏と同類ということなんですよ」御子柴からこのような言葉が放たれた時に、多くの人に重く響いてくることになるでしょう。
原作のプロローグにある郁美が夫を吊り上げる場面。今回の最後の最後に差し込まれました。裁判は原作通りの結果になるのでしょうが、残り2回、岬検事や郁美の過去が掘り起こされ、ドラマのテーマである「贖罪」について考えさせられる展開になると思います。
第7話『暴走』ネタバレと最終回予想
「お母さん やってないって言ってる。私はお母さんを信じる。信じるよね?」という妹の梓の言葉に、「信じるも信じないも、裁判で無罪を勝ち取るだけだ」と答える御子柴。しかし、「縄に付いた皮膚片」「遺書のサインのカーボンインク」「滑車の痕跡」郁美に不利な証拠ばかりです。
しかも裁判で、御子柴の父親である前の夫、謙造の自殺が今回の事件とそっくりであることが指摘され、前の夫の死も郁美の犯行ではないかという疑いまで持たれてしまいます。
事務員の洋子と同居している記者のあすみは御子柴に直接取材をし、新聞に記事を書いています。《人を殺したAが弁護士として法外な弁護料を受け取っていることについて尋ねると「当然の権利」で「少年法が私を生かした」と述べ、遺族に対して申し訳ないと思わないのか尋ねると「違法行為はしていない」と断言した》御子柴の言葉を引用した『少年法が生んだ怪物』という批判的な記事です。
「私は正義のためにやってる」と主張する あすみ に洋子はこう言います「正義って武器なの?誰かを傷つけるためにあるの?」「正義はナイフみたいに振りかざす物じゃないと思う。心を守る盾なんじゃないかな。」その後、洋子は正義感に駆られた若い男に階段から突き落とされ、怪我をして入院します。
見舞いに来た あすみ は洋子にいます。「洋子を突き飛ばした子ね…『マスコミが 悪いやつだと報道したからやった。自分は悪くない』って言っているらしいの」「私が描いた記事が犯人の背中を押した…私の振りかざした正義が…本当にごめん。」洋子は「あすみが謝ることじゃないよ」と返します。
今回のラスト、理由は明確にはされませんでしたが、御子柴は郁美に辞任届を出し、弁護士を辞めるつもりであることを告げました。
「最終回」の予想
原作『恩讐の鎮魂曲』(あらすじはこちら)の最後に、御子柴が弁護士を辞めてしまおうと思うシーンがあります。ここでは、津田倫子の手紙に救われますが、次回最終回、弁護士廃業を思いとどまらせるのは、御子柴の唯一の理解者ともいえる、洋子なのかも知れません。
裁判の結末は原作通り、成沢は自殺であり、郁美に殺人の罪を着せるために偽装工作していたということで、郁美は無罪になる展開は変わらないでしょう。
ただ、原作では、郁美が夫の自殺幇助をしたことを御子柴だけにそっと伝えますが、御子柴だけではなく、洋子、あすみ、岬検事の前で明らかにして、それぞれが「正義」「贖罪」の意味について、改めて考えさせられる展開になるのではないでしょうか。
第8話(最終回)『贖罪』結末ネタバレ
御子柴の復帰
弁護士を廃業すると書き置きをし、行方をくらました御子柴。一旦それを思いとどまらせたのは洋子の行動でした。洋子は御子柴の母、郁美の事件について独自に調査を開始。それを見ていた岬検事は御子柴に連絡します。洋子の電話には出なかった御子柴ですが、意外な岬検事からの連絡だったので通話ボタンを押します。
「一人だけ、君が帰ってくると信じて待っている人間がいるぞ。弁護士でもないのに自分で事件調べ直して…彼女を放っておくつもりか?」岬検事の言葉を聞いた御子柴は事務所に戻ります。
戻った御子柴に洋子は「お母さんを救ってください。先生にしかできません。これが最後でもいいですから」と訴え、新しい事実を伝えます。事件の被害者、成沢氏の前妻は病死ではなく、5年前に大田区で起きた通り魔事件で殺されていました。それを聞いた御子柴は調査を開始します。
裁判での御子柴の謝罪
御子柴は裁判で死体発見現場の一部を再現。検察側が主張する滑車を使って釣り上げる殺害方法を実験すると、体重に耐えかねて滑車の金具が抜けてしまい、この方法では殺害が不可能だと実証されました。
次に御子柴は、縄に郁美の皮膚片が付着していたことについて、事件の前々日、不要になったガーデニング用の枕木を捨てるために縛った時に付いたものだと説明。郁美も「手のひらがヒリヒリしたのを覚えています」と証言しました。そして御子柴は、成沢氏の死は本当の自殺であり、被告人を殺人犯に仕立て上げ、法定で無実の罪を着せるために、偽装工作をしたと説明します。
「動機」については、成沢市のパソコンの閲覧履歴に「少年犯罪ファイル」と「加害者家族を追え!」というサイトがあることを指摘。そこに被告人の顔と名前があることを示します。愛妻家だった成沢氏が妻を殺した無差別殺人犯が不起訴になり、己の恨みを晴らせないことの代償行為として、過去の犯罪者の誹謗中傷サイトを巡っていたと説明。
そして、成沢氏が被告人に近づき、<死体配達人>の母であることを知りながら再婚。それは代償行為として復讐をするためであったと御子柴は説明します。自殺の前々日、ガーデニングの廃材を捨てると言い、郁美が縄に触った痕跡を残す。滑車を取り付けた痕跡を残し、カーボンインクで遺書の署名をし、酩酊状態になるまで酒を飲み、首をつる。
「後は自分のまいた餌に警察が飛びついてくれればいい」御子柴はそこまで言うと沈黙します。法廷内の皆が息を飲む中、御子柴はつぶやくように言いました「私のせいだ…」そしてこう問います「検事、あなたは裁かれなかった極悪人を難いと思ったことはありませんか…」「皆さん、ここにいる死体配達人をこの世から抹殺したいと一瞬でも考えたことありますか…」「それは当然の感情です」
「すべての不幸を引き起こしたのは死体配達人である私です」「私のせいで たくさんの尊い人生を奪ってしまった」「もしこの事件で誰かを断罪する必要があるなら、それは…この私です。私を断罪してください」御子柴は頭を下げました。
母の告白
検察は起訴を取り下げました。御子柴は郁美にそれを伝えに行きます。そこで御子柴は郁美に問いました「ひとつ確認したいことがある。園部謙造を殺したな。梓には言わない。最後に本当のことを聞かせてくれ。」
郁美は経緯を説明します。<死体配達人>事件のせいで謙造が会社を首になり、困り果てていたところに被害者遺族から8,000万円の慰謝料を請求され、ノイローゼになった謙造は、信一郎の負担を少しでも軽くするために、自分の死亡保険金から払うことを決意します。一人で自殺する勇気がなかった謙造が郁美に依頼。郁美は滑車を使って謙造を吊り上げました。
「お父さんは優しい人だった」郁美は御子柴に語りかけます「殺人を犯そうと、世間から悪魔や怪物と呼ばれようが、あなたを愛していた。それだけは分かってあげて」
「すまなかった」謝る御子柴に、郁美は言葉をかけました。「もういいから。あなた私を助けてくれたじゃない。」
事件現場へ行く御子柴
その後、御子柴は、自身が佐原みどりを殺害した事件現場に行き、花を供え手を合わせます。そこに、佐原みどりの姉、津田亜季子が来て、同じように花を供え手を合わせます。
亜季子が「どうしてここに来たの?」と問うと、御子柴はひざまずき、頭を下げます「謝りたかった。本当に申し訳ない。」「どうして みどりを殺したの?」の問いには「あのころは虫の命も人間の命も同じだと思っていた。とうてい許されることじゃない。本当にすまない」再び頭を下げる御子柴。
その後、御子柴は弁護士を辞める意思を伝えます。「奈落の底から手を伸ばしてくる者を救い続けることが、唯一の償いだと思ってきた。でもその結果、更に多くの人を傷つけた」「私は償い方を間違っていた」「安心してくれ。もう二度と会うことはない」
それを冷たい目で見ていた亜季子が叫びます「あんたのこと一生許さない。あんたに自分の人生なんてない!」「みどりの人生を奪った分、他人のために生きなさいよ!」少し驚いた表情で亜季子を見つめる御子柴。亜季子は声のトーンを抑えて続けます「誰かを、救い続けなさいよ。私と美雪(みゆき)を救ったように…」「あんたの生き方を、私はこの先もずっと見てる。きっと みどりも見てるから…」
エピローグ
事務所で紅茶を飲みながら資料に目を通す御子柴。洋子が倫子から送られてきた段ボール箱を持ってきます。その中に手紙が入っていました。姉の美雪が戻って、母親と3人で楽しく過ごしていること書かれていました。
ダンボールには倫子が松ぼっくりで作った、人形がたくさん入っていました。思わず顔をほころばせる御子柴。初めて見る御子柴の笑顔に洋子は驚きます。
最終回の予想について
郁美が夫の自殺幇助をしたことについて、御子柴だけではなく他の人にも伝えるのではというのは全くの見当違いでした。前回の予告で「予想外の結末」と出ていたので、そんな発想をしてしまいました。よく考えたら皆に伝える必要はないですね。
御子柴の廃業を思いとどまらせるのは洋子ではないかという予想も最終的には外れでした。津田亜希子の言葉により、弁護士として贖罪をし続けることが許され、最後は御子柴の笑顔まで見ることができるとは、「予想外の結末」でした。
まとめ
- 御子柴の事務所に30年も会っていなかった妹の梓が訪ねてくる。夫の殺人容疑で逮捕された母親の弁護依頼だった。
- 母親の郁美は成沢という男性と再婚したが、ある日、成沢が首を吊っているのを発見。警察は自殺が偽装と疑い郁美を逮捕した。
- 偽装の証拠は、使われた縄に郁美の皮膚片があったこと。そして、縄を結んだ鴨居に滑車を取り付けた跡があったことだった。
- 御子柴は裁判で、老朽化した鴨居は体重を支えきれないこと、縄の皮膚片は枕木を縛ったときについたものだと証明。
- 成沢は通り魔に前妻の命を奪われており、通り魔は統合失調症のため不起訴。その憎しみから、少年であるため罪に問われなかった御子柴の母親に冤罪を被せようとしたと御子柴は説明した。
- 最終弁論後、郁美は御子柴に、実は御子柴の父を殺したのは自分だと告白した。御子柴が起こした事件の慰謝料のため、郁美は自殺を幇助していた。
以上、「悪魔の弁護人御子柴礼司ドラマ6話7話最終回原作『悪徳の舞踏曲』あらすじとネタバレ予想」でした。