土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』
土曜ナイトドラマ2020年2月1日から始まるのは、浜辺美波さん主演の『アリバイ崩し承ります』(公式サイトはこちら)
原作は、2013年に「本格ミステリ大賞」を受賞した大山誠一郎の同名小説『アリバイ崩し承ります』。
商店街にある時計店、その若き店主<美谷時乃>(みたにときの)が、時計の販売・修理だけでなく、1回5000円で「アリバイ崩し」を行っており、新米刑事の話を聞いただけで、難事件のアリバイを鮮やかに崩してみせる(あるいは見つける)ストーリー。
ドラマ第1話は、原作小説では『3話 時計屋と死者のアリバイ』になります。
ドラマの開始前に、原作のあらすじを知ったうえでドラマを楽しみたい人、ドラマを見た後に原作はどうなっているか確認したい人のために、原作小説のあらすじをお伝えします。
これから先は、原作小説のネタバレあらすじです。ドラマや原作をネタバレなしで純粋に楽しみたいならば、ここで読むのを止めてください。
原作小説は「本格ミステリ大賞」を受賞した作品。何気ない文章の中に解決のヒントが隠されており、鮮やかな解決に唸らされます。こんなところであらすじを読むのではなく、できれば原作小説を読むことをお勧めします。
では、小説『アリバイ崩し承ります』のあらすじに進みたいと思います。
原作小説『時計屋と死者のアリバイ』のあらすじ
美谷時計店
鯉川駅の東口にあるアーケード式の商店街<鯉川商店街>その中の写真館と精肉店に挟まれた小さな店。扉の上には<美谷時計店>という看板があります。
6畳ほどの狭い店内の壁一面に柱時計や壁掛け時計が飾られ、陳列ケースの中には懐中時計や腕時計、置き時計が並んでいます。店内には「時計修理承ります」「電池交換承ります」という張り紙の他に「アリバイ崩し承ります」「アリバイ探し承ります」という張り紙。
店主は若い女性、美谷時乃(みたにときの)。時乃は小学三年生のときから14年間、先代の祖父から時計の修理を仕込まれたという。同時にアリバイ崩しも教え込まれており、1回5000円で「アリバイ崩し」「アリバイ探し」を請け負っています。
死者のアリバイ
新人刑事の<僕>が、自宅マンションを出て散歩していると、後ろからスピードを出した車が近づいてきました。間一髪で避けることができたが、その先には男が一人。「危ない」と叫んだが、その男は気づいた様子もありませんでした。
次の瞬間、男ははねられ、地面に叩きつけられました。すぐに救急車を呼び、はねられた男に駆け寄ります。
はねられた男は「…… さっき、人を殺した」と言います。「誰を殺したんです?」という問いに、その男は「香澄…中島香澄(なかじまかすみ)だ」答えました。「中島香澄?どこに住んでいる人です?」と尋ねましたが、その男は苦痛に顔を歪めて目を閉じました。「どこで殺したんです?」と問うと「手城町(てしろちょう)の藪マンションの503号室だ」と答えました。
その後「あなたの名前は?」と尋ねても目を閉じたまま苦しそうにしているだけ。その男はそのまま亡くなってしまいます。男の言葉通り、手城町の藪マンション503号室で女性の死体が見つかります。
亡くなった男は、推理作家の奥山新一郎(おくやましんいちろう)であることが分かります。奥山は大学卒業後、8年間は証券会社に勤めていたが、7年前、乗っていた車が事故にあい重傷。一ヶ月生死の境をさまよったが奇跡的に回復しています。人間いつ死ぬかわからないことを実感し、会社を辞めて推理作家になっています。特にアリバイ崩しのテーマが得意だという。
奥山の部屋を調べてみると、推理作家らしく書斎には大きな本棚があり、本がびっしり詰まっていたが、音楽に興味がなかったのか、ステレオやCDラジカセの類はまったくありません。奥山のスマートフォンを調べると通話記録は全くなかったが、香澄とは頻繁にメールを交換していました。二人は恋人同士だったようですが、3ヶ月ほどは二人の間に亀裂が入っていたようでした。
奥山の死体のゴミ箱からは、宅配便のパッケージがみつかり、7時20分に宅配便を受け取ったことが確認されました。香澄の死亡推定時刻は、午後7時半頃から8時頃。奥山が事故にあったのは8時ちょうど。奥山の家から香澄のマンションまでどう急いでも車で40分かかることが分かり、犯行時間を考えると不可能。奥山にアリバイが成立してしまいました。
どうしてもアリバイが崩せなかった<僕>は<美谷時計店>へ行って、時乃にアリバイ崩しの依頼をし、これまでの状況を説明しました。時乃は7年前、奥山が重傷を負った事故のことを確認してくるので、同窓会の帰り、恩師が運転する車の助手席に乗っていた時の事故だったこと、恩師も重傷だったが今は元気であることを伝えます。
それを聞いて、時乃は言いました「時を戻すことができました。― 奥山さんのアリバイは、崩れました。」
アリバイ崩し
時乃は、奥山が亡くなった男との会話で、変に思ったことを指摘します。「どこで殺したんです?」という質問に「手城町の藪マンションの503号室だ」とわざわざ住所を言ったのが変だということ。なぜ『香澄のマンションだ』と答えなかったのか。
その前の質問、「中島香澄?どこに住んでいる人です?」に「手城町の藪マンションの503号室だ」と答えたならしっくりきます。奥山が「どこで殺したんです?」という質問の前に目を閉じていたから、次の質問をされたことがわからなかった。
時乃はこう結論づけました「奥山さんは、耳が聞こえなかったんです。読唇術で相手の唇の動きを読んで、相手の言ったことを理解していたんです。」時乃が、奥やあが耳が聞こえなかった根拠として、車が近づいてきて「危ない」と言われたのに気づかなかった。スマートフォンの通話機能を全く使っていなかった、奥野の家にはステレオもCDラジカセもなかったことなどをあげました。
「奥山はどうして耳が聞こえなくなったんでしょうか」と時乃に問うと、時乃は、奥山は7年前の事故で耳が不自由になったが、間接的に運転していた恩師の責任になることを避けるためであると解説。
時乃は次に、アリバイ崩しにかかります。「どこで殺したんです?」「手城町の藪マンションの503号室だ」という会話から、奥山が香澄の首を絞めた犯行現場は、香澄の済む藪マンションだと思い込んでいたが、実際は奥山の部屋だった。香澄は意識を失ったものの死んではおらず、自分でマンションに戻っていった。
そして、香澄はマンションの部屋に戻った時に、部屋の中にいた者に殺された。それは合鍵を持っているマンションの大家だと推理します。時乃は、奥山は香澄を殺したと思い込んだまま事故にあったと説明します。
その後の捜査で、奥山の耳が不自由であったことがわかり、藪マンションの大家も自供しました。
まとめ
- 美谷時計店の店主、美谷時乃は時計の修理以外に「アリバイ崩し」も行っている
- 新人刑事が交通事故に遭遇し、事故の被害者の男は女性を殺したと自供。その後亡くなってしまう。
- 亡くなった男は、事故の前に宅配便を受け取っており、犯行時間に間に合わずアリバイが成立する。
- 時乃は刑事と男の会話の矛盾から犯行現場が被害女性の部屋ではなく、男の家であったと推理してアリバイを崩す。
以上、「アリバイ崩し承ります ドラマ1話原作小説ネタバレあらすじ(死者のアリバイ)」でした。